指先に咲く
特定のものに対する感覚が偏っている方だと思います
触覚に関して、
些細な動作ですら普通の人よりも指先が痛いらしい
「らしい」というのは、私は自分以外の人間に成り代わったことがないからです
自分以外の人間との対話に基づき、おそらくそうであるらしいという結論に至りました
昔、ミュージシャンが独占インタビューなんかで「この曲は(過去自分が経験した精神的苦しみなどの)痛みを表現している」と話しているのを読むと、「そりゃそうだ、ギターの弦押さえて弾くのがまずめちゃくちゃ痛いしな」などと思っていた
中学生の時分、一瞬ソフトボール部に所属していましたが
「こんな苦しい思いしてやらなきゃいけないのか」と思っていたのは
何十本の全力ダッシュではなく普通のキャッチボールでありバッティング練習でした
「みんな痛い思いしてやってるし」と思っていたのですが、きっと他のみんなは、そんなに痛いとは思っていなかったんだろうなあ
上手ではなかったのでポジションはあまりボールが飛んでこないレフトでした
うっかりキャッチャーなんかなってたらどうなっていたのだろう
とまあ、気付くまでは色々な解釈違いを起こしていたのでした
例えば机を指先でトントンしているときは少し痛い
雑巾絞りはかなり痛い
弦楽器、本気のキャッチボール、ハイタッチ、握手、拍手は相当痛い
ガッタガタの道を走る車に乗っているとき、私はお尻よりも指先が痛いのです
何かしているときは大抵、こいつは指先が痛いのです
別に自分の指先が吹っ飛んでいかないことは知っているので、楽器の演奏もハイタッチも握手も拍手も普通にします
普段は痛くても大して気にしないのだけど、体調が悪かったりすると痛みがいちいちきになる時があります
そんなときは、痛むたびに花が一つ咲くことを想像します
キーボード叩いていたりすると、たくさん花が咲いて楽しいですよ
おわり